新規事業が失敗する4つの理由がハッキリとわかる

 
2016.03.18

新規事業の失敗とは、何をもって失敗と定義するのでしょうか?

新規事業の失敗の定義が決まらなければ、撤退基準も決まらず、次の事業への反省も生かされずに、新規事業に対しての真剣度がなくなり、新規事業をやることが全く意味のないものになってしまいます。

そのため、私は”失敗の定義”を事前にしっかりと決めておくことが重要だと思っています。その上で、仮に新規事業が失敗した場合、なぜ失敗したのかについて原因を追求し、次のアクションへ活かすことが出来ます。

今回は、新規事業が失敗する4つの理由についてお話ししたいと思います。

1.新規事業の失敗の定義

失敗の定義は、その会社や経営者の考えにより、決めるものです。”これが失敗です”と言える失敗は、必ずしもないと思っています。

今回はご参考までに、私が考える新規事業の失敗の定義を以下に挙げます。

  • 当初の予算(資金)が0円になった場合
  • 事業開始から1年以内に黒字化の見込みが立たない場合

基本的に、予算(資金)がなくなるか、1年以内に黒字化の目途が立たない状況は、新規事業の失敗だと言えます。

なぜなら、私自身の経営経験からしてもそう設定していましたし、上場会社にいた際にも、この基準が失敗の定義として設定されていました。

多くの場合、その基準以上に時間や人員を費やしても新規事業が成功することが、ほとんどないからです。

勿論、黒字化の目途があったり長期的な視点に立った新規事業で、事業内容的にどうしても、先行投資が優先になってしまうということであるのならば、当初の予算(資金)が0円になったとしても、追加で増資や借入金にて資金を補充するというのもありだと思います。

ですが、その場合は例外であると考えるべきです。

多くの場合は、当初予算が0円になる、もしくは事業開始から1年以内に黒字化の見込みがないのであれば失敗だと定義し、速やかにその事業から撤退すべきです。

そして、その結果を真摯に受け止め、次の新規事業への教訓として生かすべきです。
 

2.新規事業の失敗の種類

新規事業の失敗の種類には、大きく2つあります。

  • 会社にとって”許容範囲内”の失敗
  • 会社にとって”許容範囲外”の失敗

先程の「失敗の定義」にも関連してくることですが、この失敗の種類をしっかりと認識しておかなければ新規事業の失敗がそのまま会社の失敗・・・に繋がりますので、注意が必要です。
 

2-1. 会社にとって”許容範囲内”の失敗

許容範囲内というのは、仮に新規事業が失敗したとしても当初予算通りであり、失敗したとしても立ち直りができる状況のことを指します。

また、許容範囲内であれば、その新規事業の失敗の教訓を次の新規事業へも生かせます。

基本的には、許容範囲内であれば、会社の存続を脅かすようなものでないわけですから、許容範囲内の失敗を繰り返し、徐々に新規事業が成功する確率を上げていくという考えも良いと思います。
 

2-2. 会社にとって”許容範囲外”の失敗

許容範囲外というのは、当初の予算や予定通りを超越した状態であり、下手をすると会社の存続を脅かすような状況のことを指します。

基本的には、新規事業をやる場合においては、許容範囲外になる事態は絶対に避けるべきです。

ただし、最初から会社の存続や社運を懸けてやる新規事業もありますので、その場合にはこの場限りではありませんが。
 

3. 新規事業が失敗する4つの理由とその解決策

新規事業がなぜ失敗するのかという理由ですが、大きく4つあります。

  • 人的な問題
  • 資金的な問題
  • ノウハウ的な問題
  • 本気度が足りない

これらについて詳しく話していきます。
 

3-1.失敗する4つの理由

・人的な問題

新規事業が失敗する理由の中で、最も大きな割合を占めるのが、この人的な問題だと思います。

事業というのは「誰がやるのか」が、その事業が成功するのか失敗するのかを決めると言って良いほどに大きな要素を占めます。

全く同じ事業(同じ業界)だとしても、「誰がやるのか」によって、大きくその事業の成功度合いが左右されているのは、どの業界を見ても分かることだと思います。

特にその事業を行っている事業責任者が誰なのかということです。それによって、予算(資金)をはじめとした経営リソースの確保にも大きく影響があります。

・資金的な問題

現実的なこととして、事業にはお金が掛かります。

この資金を如何に集め(準備)、如何に有効に活用していくかが重要なわけですが、多くの場合、資金を十分に集め(準備)られないか、予想外の出費などがあります。

それによって、ショートしてしまい新規事業が失敗となります。

・ノウハウ的な問題

新規事業で参入する市場(分野)に対して、全くの未経験の市場(分野)に挑戦していく場合などに多く見受けられます。

未経験の市場(分野)が必ずしも、NGというわけではないですが、少なくとも経験している市場(分野)の方がその市場(分野)の特徴やノウハウ的なものが生かせます。

未経験の市場(分野)の場合には、そこでのノウハウがないわけであり、その分だけ試行錯誤の時間や費用が余計に掛かるということにより新規事業が失敗となります。

・本気度が足りない

精神的な面になります。

精神論の重要性をとやかく言うつもりはありませんが、新規事業に対して、どこまでの本気度で取り組んでいくのかということは非常に大きいです。

なぜなら、これはどういう役職や立場の人が新規事業をやるのかにもよりますが、仮にサラリーマンが社内の新規事業をやる場合と経営者が新規事業をやる場合とでは、その本気度というのは全く異なるわけです。

サラリーマンの人でも、それなりには本気でやるでしょうが、仮に成功しようが失敗しようが、待遇に大きな差はないことが主な原因だと思いますが、少なくとも、経営者に比べれば遥かにリスクがないと言えます。

実は、そのリスクのなさが本気度を生まないのです。よって、結果的に新規事業が失敗する確率が高まっているわけです。
 

3-2.解決策

上記で述べた、失敗する4つの理由の解決策としては、次に挙げることしかありません。

それは、経営トップ自らが本気で取り組むということに尽きます。

理由は、これまでの私のビジネスキャリア(上場会社の社長室にいた時や、出資先の会社など多くの会社を見てきて)から新規事業が成功している例というのは、経営トップが本気で新規事業に取り組み、事業が成功する要素である、人・お金・ノウハウ・情熱(熱意)の全て、ベストなものを注ぎ込んでいます。

人・お金・ノウハウ・情熱(熱意)の全て、ベストなものを注ぎ込めるのも、経営トップが本気であるからです。

ハッキリ言って、経営トップが本気で取り組まない新規事業は、会社自体が本気で取り組んでいない事業であり、その時点でその新規事業の成功の期待は持てないでしょう。

そのような状況で取り組まれている新規事業は、その関係者にとっては、重要かもしれませんが、会社にとっては、それほど重要ではない位置づけということです。

当然ながら、成功した方が良いけど、失敗したとしても、会社にとっては許容範囲内という程度が実態です。

中途半端な取り組みで成功するほど、新規事業というのは甘くないわけです。

そのことは、結果を出している経営者ほど深く理解しています。
 

4.新規事業の失敗事例

新規事業の失敗の典型的な失敗として参考になる事例を2つ挙げたいと思います。

  • 東日本ハウスが取り組んだ「銀河高原ビール」
  • 株式会社giftが取り組んだ(女性向け雑誌「DRESS(ドレス)」)

新規事業の失敗事例から教訓を学ぶことにより、新規事業の失敗を回避する参考になればと思います。
 

4-1. 東日本ハウスが取り組んだ「銀河高原ビール」

東日本ハウスという会社をご存知でしょうか?

住宅メーカーです。

では、「銀河高原ビール」をご存知でしょうか?

恐らく、余程のビール党でなければ、知らない人の方が圧倒的に多いはずです。

元々、銀河高原ビールは1996年(平成8年)、東日本ハウス株式会社を設立した中村功氏が岩手県沢内村の村おこし事業として始まりました。

しかしながら、結果的には失敗という憂き目にあいます。

この新規事業の主な失敗原因は、「3.新規事業が失敗する理由」で言うところの、「ノウハウ的な問題」ともう1つ加えるとするならば「本気度が足りない」だと言えます。

冷静に考えてみてください。住宅メーカーがビール事業(ビールメーカー)をやるわけです・・・ノウハウはありません。

当初は、資金的な問題はなかったのでしょうが、事業が上手くいかないと結局は資金的な問題にもなり失敗という状況になったわけです。

また、村おこし事業という大義はあったにせよ、本業に比べれば遥かにその事業に取り組む本気度は高いものであったとは到底思えません。

1996年(平成8年)、岩手県の住宅メーカー東日本ハウス(現日本ハウスホールディングス)の子会社として銀河高原ビール株式会社を設立。当初は、岩手県和賀郡沢内村(現・西和賀町)で地ビールの展開を行っていた。
創業後、地ビールブームにのり順調な滑り出しを見せたが、2001年(平成13年)にはブームの沈静化を受け、高山、阿蘇の2工場を閉鎖。那須工場とOEMの生産体制とした。

2002年(平成14年)に営業不振から銀河高原ビール株式会社を高原販売株式会社と会社名を変更し、清算。新たに銀河高原ビール株式会社を設立し、旧銀河高原ビールが新会社に営業を譲渡した。

その後、営業のてこ入れのため、みのもんたをCMキャラクターとして採用。しかし黒字化には至らず2005年(平成17年)、再び会社の清算を決定[1]。

ブランドや製造販売などはOEM生産元でもあった関連会社の東日本沢内総合開発(岩手県和賀郡西和賀町)に引き継がれることになり、那須工場および併設する那須ビール園は閉鎖となった[2]。
2010年(平成22年)2月1日付で、商号を東日本沢内総合開発株式会社から「株式会社銀河高原ビール」に変更した[3]。

Wikipediaより

 

4-2.株式会社giftが取り組んだ(女性向け雑誌「DRESS(ドレス)」)

まずは、以下の会社概要を見てほしい。

株式会社giftの会社概要(2013年4月時点)

商  号   :株式会社 gift(gift inc.)
事業内容   :雑誌「DRESS」の編集・出版
最高顧問   :秋元康
名誉会長   :松浦勝人(株式会社 エイベックス・グループ・ホールディングス)
取締役会長  :見城徹(株式会社 幻冬舎)
取締役副会長 :藤田晋(株式会社 サイバーエージェント)
代表取締役社長:山本由樹

その当時は、ビジネス界のドリームチームとも言われたほどのメンバー。

経営のメンバーには作詞家やAKB48のプロデュースで有名な秋元康、エイベックスの松浦勝人、幻冬舎の見城徹、サイバーエージェントの藤田晋、雑誌「STORY」の編集長で「美魔女」という言葉を流行らせた山本由樹、という、事業成功に必要な、人・モノ・お金・ノウハウなどが全て揃ったと言われていました。

見ようによっては、ドリームチームだが、どこかの有名な野球球団のように4番バッターだけを並べたようにも見えるメンバー構成だが・・・。

事業内容は、40代の独身女性をターゲットにしたファッション雑誌「DRESS」の展開。

しかしながら、結果どうなったかというと・・・約1年半後の2014年12月に会社が売却されました。

3億4200万円もの赤字の状態で会社を売却するという事態で、間違いなく新規事業としては失敗でした。

また、株式会社 giftの事業を買収したのは、パス株式会社で、EC事業に乗り出す予定だったため、相乗効果を狙っての買収だったようです。

パス株式会社(経営メンバー構成)

取締役社長  :瀧谷 知之
取締役    :山本 由樹
取締役(社外):池照 佳代
監査役    :福田 優

当然ながら、経営メンバーは当初の創業に比べてガラリと変わっています。

この新規事業の主な失敗原因は、「3.新規事業が失敗する理由」で言うところの、「人的な問題」と、もう1つ加えるとするならば、やはり「本気度が足りない」だと言えます。

株式会社 gift のメンバーにその答えがあります。

一見すると表面的には、人を見れば、各業界で成功していると言われているメンバーなので、問題がないかのように思える。

しかしながら、それらのメンバーは、それぞれ自分の会社や本業があるわけで、株式会社 giftの事業に費やす時間やエネルギーは、それほど多くあったとは到底思えない。

つまり、本気でそれらのメンバーが、株式会社 gift事業に携わっていたわけではないということ。

勿論、当時としては、豪華メンバーを集めてそれなりの意気込みで事業開始したのかもしれないし、実際に雑誌の事業を行っていたのは株式会社 giftの社員かもしれないが・・・最終的な経営責任は、経営メンバーであるということは紛れもない事実。

当時としては、話題性があったにせよ、事業というのは話題性ではなく、肝心の雑誌の中身に多くのユーザーが支持するだけの価値があるかどうかが成功の秘訣であることを物語っている。

なお新規事業の成功事例については、「新規事業の3つの成功事例から学ぶべきこと」にて、詳しく説明しているので是非お読み頂きたいと思います。
 

5.新規事業が失敗する4つの理由がハッキリとわかるのまとめ

基本的に、新規事業というのは、新しいことに挑戦していくわけですから、簡単に成功するものではないと思います。

ただし、単純に成功確率が低いという意味ではありません。

新規事業が失敗するのは、当然の理由が必ずありますので、それらについて事前に知識として知っておくことで無益な失敗を回避し、実践の場で知識を生かした行動をしていくことにより、新規事業の成功の確率が飛躍的に上がっていくのは間違いありません。

また、人・モノ・お金・情報・ノウハウなどが十分にあったとしても、その新規事業への取組みの本気度によって結果が大きく左右されますので、本気になって取り組むことが何よりも重要だと思います。

 
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